「清潔で冷たい手」と
「未洗浄の温かい手」では
どちらのほうが
より正解に近いのか?

最終更新日:2021/1/11

昔のえらい人はこう言いました。「人がもっとも効率よく学べるのは成功からではない。失敗からである。」と。

なので私も先人の英知にならって、今日ひさびさにやってしまったしょうもないミスの内容とその反省について、忘れないように未来の自分のために書いて残しておきたいと思います。

アルコール消毒だけでは死なない
細菌がいる?

以前、当院を利用されているお医者さんから、「先生(私のこと)は鍼灸治療をするときに患部のアルコール消毒はしてるよね? あれあんまり意味ないって知ってる?」と言われました。

消毒用エタノール_画像

このような知識を聞いたのは生まれて初めてだったので、そのお医者さんにもうちょっと詳しくそのお話を聞いてみました。

そのお医者さんが言うには、なんでも皮膚に付着している細菌には皮膜の関係でアルコール消毒だけでは殺せないタイプのものがいるらしいのです。

そのタイプの細菌を退治するには、「アルコール消毒だけじゃなくてちゃんと石鹸などで洗浄して洗い流さないといけないよ」という、示唆に富んだ内容のお話でした。

※ 法律上(?)は、鍼灸治療での患部の消毒は高濃度のアルコール系消毒液のみでOKです(参考)。

整形外科では手術部位の消毒に
アルコール系消毒液を
使っているのか?

このお医者さんに教えてもらった知識は、確かにその通りなんだろうなと思います。

私は細菌博士じゃないので菌のことについては詳しくありませんが、整形外科などで関節内に注射をするときには、アルコール消毒ではなくてポビドンヨードなどのもっと強力な殺菌剤を使って患部を消毒しています。

ポピドンヨード_画像

なんで整形外科の先生が注射部位や手術部位にアルコール消毒をしないのかという理由を考えるだけで、確かに、皮膚をしっかりと殺菌するのにはアルコール消毒だけでは足りないのだろうなという結論に達することは可能でしょう。

アルコールでももちろんある程度の消毒はできるのでしょうが、ポピドンヨードを使ったほうが、より多くの量と種類の細菌とウィルスを殺すことができるのでしょう。

手指の石鹸洗浄を常温の水道水で
行ない
手を冷やしてしまう

今回の失敗談の本題に入ります。

私は鍼灸師の資格を持っていますので、整体の施術で肩こりや腰痛などの不快症状が取りきれない場合は、患者さんの許可をもらって、道具を使って鍼治療をさせてもらうことがあります。

当院では現在、通常の2cm以上の長さの針を使った鍼治療を行なう際は有料なのですが、「円皮鍼」を使った鍼治療は通常サービスの一環として原則的に無料で提供しています。

円皮鍼というのは、↓ の画像のような、シールで患部に貼り付けるピップエレキバンをさらに強力にした感じの医療器具です。

それで今回の患者さんも、整体の施術後にまだ2割くらい首と肩に違和感が残っている様子だったので、許可をもらって円皮鍼を患部に貼って帰ってもらうことにしました。

いつものように石鹸で手を洗い、エタノール(アルコール系消毒液)を手に塗り込んで、脱脂綿にエタノールをしみこませて患部の消毒をして、それから円皮鍼を貼りつけました。

ただ私はここで痛恨のしょうもないミスを犯してしまいました。そのミスとは、「常温の冷水で手を洗ってしまったこと」です。

この結果、私の手からは熱エネルギーが放出されてしまい、一時的に手指の体温は数度くらい低下してしまいました。

さて、もしあなたならば、その冷えた自分の体温以下の清潔な手で他人から首や肩を触られたとしたら、いったいどのようか感想をもつでしょうか?

もし私だったら、たぶん「うわ、冷たっ!」って不快に思います。そして体の反応としては、明らかに自分の体温よりも低い温度の物体が接触するわけですから、キュッ!と防御反射のようにその接触した部位の周辺の組織も硬く収縮してしまうでしょう。

いくら殺菌消毒済みの清潔な手だからって、筋肉や筋膜を柔らかくして体液の循環を良くして不快症状の消失を図ることが仕事の主な目的である施術者としては、これではいけませんよね。

石鹸洗浄なしの細菌が付着した
温かい手
のほうが良かったのか?

たとえ清潔だったとしても、患者さんの体温よりも冷たい手というのは、施術者の手としては論外です。

では今回のような場合、もし石鹸洗浄をせずに少し雑菌が残っていた状態だったとしても、温かい手のほうが良かったでしょうか?

もしこれが整体の施術だけならそれでもいいと思うのですが、皮膚の中に入る「鍼」という医療器具をあつかう鍼灸治療をするのであれば、たとえ相手の体温よりも温かい手だったとしても、細菌やウィルスをとりきれていない清潔でない手というのは、これまた論外だと思います。

結論
温水で石鹸洗浄してからアルコール
消毒をしよう!

なので今回の失敗の最大の原因は何かというと、たぶん「温水給湯器を使わなかったこと」なんじゃないかなと思います。

いま思い返してもなぜ温水で手を洗わなかったのかまったく分からないのですが、この方はその日最後の患者さんだったので、たぶんちょっと意識が雑になっていたのかもしれません。

焦ってもなにも良いことはないんですけれどもね。それでもいつのまにやら無意識レベルで焦りが生じてしまう…。悪い習慣ですね。これは良くないことです。

明日からは、できる限りこの悪癖を修正していきたいと考えております。

情報の裏とり

ちなみに今回のブログ記事を書くにあたり、以前お医者さんに教えてもらった「アルコール消毒だけでは患部の消毒は不十分」という仮説の根拠となる論文や記事を Web 検索してみました。

その結果、大変残念ではありますが、この仮説を直接的に裏付けるような内容の記事を見つけ出すことはできませんでした。

一応、↓ のような内容のそれっぽい記事は見つけることができましたが、文中にはっきりと「手指の洗浄とアルコール消毒は併用するべきである」というような記述はなかったので、これでは上記の仮説を裏付ける根拠としては不十分だと思います。

今回のお話のまとめ

それでは最後に、今回の失敗談のまとめをさせていただきます。

なおこのまとめの内容は、私のような施術を生業とする人間を対象とした結論です。一般のご家庭で実践するべき内容とはちょっと違うと思いますので、その点はご注意をお願いします。

  • アルコール消毒だけでは殺しきれない細菌がいるのかもしれない。
  • アルコール消毒の前には石鹸で手を洗ったほうがより清潔なのかもしれない。
  • 相手の体温よりも冷たい手で患者さんの体を触るのは論外。
  • 温かくても雑菌まみれの手で患者さんの体を触るのも論外。
  • 冬場に手指を洗浄するときはめんどうくさがらずにお湯を使うべき。

以上です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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