高血圧の基準値の歴史から
考える
正常血圧の範囲とは?

最終更新日:2021/1/15

まず最初に、私はお医者さんではありませんし循環器疾患の専門家でもありません。

でも、なぜか昔から「高血圧症」という病気についてのお話には大きな関心があります。なぜかというと、高血圧症の基準値や治療にまつわるお話には、理屈として納得できないよく分からない内容のものがとても多いからです。

なのでこのページでは、日本の高血圧の基準値の歴史を振り返りながら、「現時点での私たちの正常血圧値の範囲はいったいいくつなのか?」ということについて考察してみたいと思います。

ちなみに結論から言いますと、いまの日本(2021年)で誰からも難癖をつけられない収縮期血圧の正常値は、「111 mmHg ~ 129 mmHgまでの範囲のたった 19 ポイントのみ」となります。

う~ん、これは少ない。

高血圧の前提知識
拡張期血圧と収縮期血圧

高血圧の基準値の歴史をご紹介する前に、まずは血圧について理解するための前提となる知識についておさらいをしておきましょう。

● そもそも血圧とはなにか?

血圧とは、書いて字のごとく「血管内の圧力」のことです。

人間の体を構成しているパーツはすべて例外なく、「細胞」というなんかよく分からない微小生物から作られています。

細胞は生きているので、当然われわれれと同じように呼吸をしますし、食事もしますし、そしてウンチもします。

細胞が呼吸をするために必要な酸素を運び、お食事をするために必要な栄養素を運ぶのが「動脈血」の仕事です。そして、その呼吸やお食事のあとの排泄物である二酸化炭素やウンチを片付けるのは主に「静脈血」の仕事です(リンパ液も 2 割程度関与します)。

そして、その動脈血を運んでいるパイプが動脈という名の血管であり、その中でも主要な動脈の内壁にかかっている圧力を測定したものが、いわゆる「血圧」と呼ばれるものの正体です。

ちなみに、この圧力を生み出している動力源は「心臓」です。

「血管(動脈)の弾力性」、「血管内の血液の量」、そして「心臓の収縮する強さ」の3つが、血圧の数値を決める3大要素となっています。

● 収縮期血圧とはなにか?

血圧には「収縮期血圧」と「拡張期血圧」の2つの値があります。

たとえば、「140/90 mmHg」という血圧があったとします。この血圧の 140 という部分が収縮期血圧にあたります。

収縮期血圧は、循環器系の動力源である心臓がギュッ!と収縮したときに動脈内にかかる最大圧力です。

なので「140/90 mmHg」の人は、運動やらなんやかんやで血圧が上がる行動をとらない限りは、動脈内にかかる圧力はつねに 140 mmHg以下であると言えます。

● 拡張期血圧とはなにか?

拡張期血圧は、「140/90 mmHg」の 90 という部分にあたる血圧です。

拡張期血圧は収縮期血圧とは逆で、心臓がダル~っと拡張したときに動脈内にかかる最低圧力です。

日本最古の高血圧の基準値

血圧のおさらいも済みましたので、さっそく本題に入っていきましょう。

現存する資料では、日本で高血圧の基準値が最初に定められたのは 1987 年らしいです。そして、このときに定められた基準値は「180/100mmHg」でした。

この時の基準値を決めたのは厚生労働省の前身である「厚生省」らしいです。

まあなんにせよ、180mmHgはさすがに高すぎだよなって感じですよね。

最初の基準値の改定で大幅に下がる

上記の高血圧の基準値は、2004年(2000年という記述もあり)に大幅に引き下げられます。

具体的にいうと、「180/100mmHg」から「140/90mmHg」にまで一気に下がります。いきなりすごい下がりましたね。

この基準値を作ったのは、いろいろな意味で一部の方々に知名度の高い「日本高血圧学会」さんです。

製薬会社さんとのビジネスライクなつながりを指摘するような記事もインターネット上にちらほらとありましたが、実際のところ、どうなんでしょうかね。

個人的には、日本高血圧学会さんにはあんまりいい印象はありません。

2回目の基準値の改定でついに
140mmHgを割る

次に高血圧症の基準値の改定が行われたのは、最初の改定から 4 年後の 2008 年らしいです。

それで、このときの改定で、高血圧症の基準値は「140mmHg」から「130mmHg」まで下げられることになってしまいました。

この収縮期血圧130mmHgという基準値がいかに低い値かということを認識していただくために、まずは「低血圧症」についてのお話をさせていただきます。

血圧が低すぎると低血圧症になる

血圧が高すぎると「高血圧症」になるように、血圧が低すぎる人には「低血圧症」という病名が用意されています。

この低血圧症は書いて字のごとく「血圧が低すぎる状態」のことを意味しています。そして、この病的に血圧が低い状態の基準値は「100/60mmHg」となっています。

さて、ここで一度考えてみてください。

2008 年時、日本では収縮期血圧が130mmHg以上の人はみんな高血圧症と認定されました。そして、収縮期血圧が100mmHg以下の血圧が低すぎる人は、みんな低血圧症と認定されてしまいます。

なので、この条件下での正常血圧の範囲は、「101 ~ 129」の間ということになります。つまり、正常な値の範囲はたったの「 29 ポイント」のみということになります。

なんといいますか、正常な数値の幅が 29 ポイントしかないというのは、個人的にはちょっと少なすぎるような気がします。

ちなみに
日本には低血圧症の基準値はない

ちなみに、上記の「100/60mmHg」という低血圧の基準値は、WHOが策定した世界的なスタンダートの数値です。

そして、日本ではどのような基準があるのかというと、なんと驚くべきことに、日本には低血圧症の基準値が用意されていません。

最初におさらいしたように、血圧とは細胞が生きるために必須の物質を運ぶためのライフラインそのものですから、血圧が低すぎるとその輸送が末端まで上手くいかず、短期的にも長期的にもさまざまな健康上の問題が引き起こされてしまいます。

高血圧症が「健康を害するからよくない!」と声高に叫ぶわりには、同じく確実に健康を害するであろう低血圧症には基準値すら決めずに放置するその姿勢には、たとえお医者さんでなくても大きな違和感を感じずにはいられません。

まあしかし、もし日本でも低血圧症の基準値を作ってしまうと、上記のように正常血圧の範囲内が「101 ~ 129」の間のたった 29 ポイントしかないことが誰の目にも明らかになってしまいます。

なのでそういった意味でも、低血圧症の基準値をハッキリと策定できなかった大人の事情があるのかもしれませんね。

3回目の改定でまた基準値が
140mmHgに戻る?

2度目の改定である 2008 年以降、いつ行われたのかがちょっと分からないのですが、3度目の改定が行われて、現在の高血圧症の基準値は「140/90mmHg」になりました。

このあたりの基準値の推移について、はっきりとした記録が残っていない、または検索してもすぐにヒットしないというあたりに、個人的には、社会の闇というか大人の事情的なものを感じてしまいます。

「高血圧予備軍」とかいう
よく分からない単語が使われだす

上記のような変遷があって、今の日本での高血圧症の基準値は「140/90mmHg」になりました。

しかし、なぜだかよく分かりませんが、高血圧症とは別に「高血圧予備軍」なるよく分からない言葉がメディアなどでよく使われるようになりはじめました。

ちなみに、インターネット上で確認できた高血圧予備軍の基準値は「130/80mmHg」です。このよく分からない病名(?)と基準値、いったい誰が作ったんでしょうかね?

たぶん、「健康寿命」とかと同じような目的と経緯で作られた造語なんじゃないかなとは思います。どんな目的かというと、それはもう、「お金儲け」しかないのではないのでしょうか。

「高血圧予備軍」があるなら
「低血圧予備軍」も用意するべき

どうも一部のお医者さんや製薬会社さんは血圧が高いことばかりを敵視しているようですが、もし高血圧予備軍なるものが必要であるのなら、同様に「低血圧予備軍」なる病気(?)も必要なのではないでしょうか?

ちなみに低血圧予備軍の基準値がもしできるとしたら、その値は低血圧の基準値プラス 10 になるでしょうから、「110/70mmHg」くらいになることが予想されます。

もしそうなったら、ただでさえ「 29 ポイント」しかない私たちの正常血圧の幅は、さらに狭められることになってしまいます。

正常血圧の範囲が
19ポイントしかない異常事態

もしその前提で計算をすると、誰も文句をつけられない正常な範囲の血圧の値は「111 ~ 129」の間ということになります。

ということは、病的ではない血圧の範囲は、なんとたったの「 19 ポイント」しかないことになってしまいます。

この 19 という数字の範囲から 1 ポイントでも足が出てしまうと、私たちは「高血圧予備軍」か「低血圧予備軍」のどちらかのレッテルを貼られてしまい、たくさんの企業や医療機関から、やれ「この健康食品を食べろ」だの、やれ「毎月血液検査をうけろ」だのという健全(?)な経済活動の圧力にさらされることになってしまうのでしょう。

これはあくまでも思考実験の中でのお話ですが、事実のみを元に考えたとしても、正常な範囲の血圧の値はたったの「 29 ポイント」しかありません。

私は医者ではありませんし循環器疾患の専門家でもありませんが、この高血圧症の基準値というのは、本当に今のような数値で大丈夫なのでしょうか?

なんというか、いまいち信用できないというか、もし自分の収縮期血圧が140mmHgを超えていたとしても、個人的にはまったくお薬を飲もうという気にはなれません。

結論
高血圧症の基準値は複雑怪奇

今回のお話についての自分なりの結論を出してみたいと思います。

高血圧症について時間をかけてじっくりとリサーチをするのはこれが3回目くらいですが、何度調べてみても、日本の高血圧症の基準値や治療方針の策定の根拠についてはまったく納得することができません。

医学の根底は科学のはずですから、もしこれが科学であるのならば、私の個人的な好みに合うかどうかは別として、納得できる根拠というか理屈があるはずだと思いたいのですが、高血圧症に関してだけは、どうしても自分が納得できるだけの要素を見つけだすことができません。

なのでまあ、今回のお話の結論としましては、「高血圧症についてはあらゆる観点から正直よく分からない」という、身も蓋もない結論を出さざるをえません。

第 35 第内閣総理大臣の平沼騏一郎氏ではありませんが、「高血圧情勢は複雑怪奇」としか言いようがありません。

今回のお話のまとめ

それでは最後に、今回のお話のまとめをさせていただきます。

  • 高血圧の基準値は最初は180/100mmHgだった。
  • でもいつのまにか140/90mmHgまで基準値が下がった(根拠は不明)。
  • 収縮期血圧が130台の人は「高血圧予備軍」だという謎の価値観が出てくる。
  • WHOにはあるのに日本にはなぜか低血圧症の基準値は存在しない。
  • 現状の高血圧の基準値では正常な血圧の範囲が狭すぎるのではないか?

以上です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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