東洋医学でいうところの
「冷え」という概念について
の詳細

最終更新日:2021/1/21

よく、「体を冷やすとよくない」というお話を聞きます。

これは東洋医学でも西洋医学でも言われていることで、いわゆる「養生や健康管理の常識」というやつです。

それで、この「冷え」という概念なのですが、これがけっこう厄介なものでして、文字どおりの字面のままの意味でとらえてしまうと、この概念の本質を見誤ってしまうことにもなってしまいます。

体を冷やすとはどういうことか?

例えば、真冬にTシャツ1枚と半ズボンの服装で庭に1時間ただボ~っとつっ立っているとします。

これは、誰がどう考えても体を冷やしてますよね? これについては、異論を唱える人はいないと思います。

では、エアコンをつけた約 24 ℃設定の室内で椅子に座って2時間ほどパソコンを使って仕事をしていたとしましょう。このとき、あなたには特に「寒い」という感覚はありません。

この場合は、体は冷えているのでしょうか?

東洋医学的には、このときあなたの体は部分的に冷えています。もう少し具体的にいうと、長時間の座業によって筋肉の弾力性が減り血行が悪くなってしまった部分が冷えています。

つまりこの場合、あなたが「肌寒いな」という実感があろうとなかろうと、首や、肩や、腰や、足底や、ふくらはぎ辺りは確実に「冷え」ています。

「冷え」とはなにか?

そもそも、体を冷やすと何がいけないのでしょうか?

体を冷やすということは、その冷えた部分の「体温が下がる」ということです。体温が下がると、当たり前ですがその部位の皮膚、筋膜、筋肉は硬くなります。

体温が下がると生体の組織が硬くなるのは絶対的な法則です。体を冷やしたときのほうが体を温めたときよりも柔らかくなるような奇抜な生物は、今のところこの世に存在しません。

話を戻します。体が冷えて硬くなると、その硬くなった筋肉や筋膜の間をグネグネと走っている細い血管やリンパ管はキュッと締め付けられてしまいます。なぜかというと、道を作っていた周りの組織が冷えて硬く縮んでしまったからです。

この結果、冷えた場所の血液やリンパ液の流れはとても悪くなります。硬く縮まって隙間の少ない場所のほうが流れが良くなる流体などというものは、今のところこの世には存在しません。

いったん、ここまでのお話をまとめます。

ようは、体を冷やすと、その冷えた場所が硬くなり、その結果として血液やリンパ液の流れが悪くなってしまうのです。

極端な話、病気になる場所というのは、冷えて血液やリンパ液の流れが悪くなってしまった場所です。これは東洋医学だけでなく、西洋医学的な事実でもあります。

中長期的な視点で見ると、血液やリンパ液の流れが悪くなって病気になると困るから、「体を冷やすのはよくないよ」というわけですね。

これは、じつに理にかなった教えであると思います。

冷え ⇔ 硬い筋肉 ⇔ 血行障害

さきほど、冷えが「筋肉(筋膜)の硬さ」と「血行障害」を引き起こす原因であることをご説明しました。

この概念を理解したうえで、最初の「2時間くらいイスに座ってパソコン仕事をしていた人」のことについてもう一度考えてみましょう。

この人の首や肩、そして腰まわり筋肉は、作業中はずっと伸び縮みすることもなく、ただじ~っと体を支え続けています。足底やふくらはぎは体を支えてはいませんが、特に伸び縮みをすることもなく、ただじ~っとしているだけです。

この状態は、筋肉にとっては「硬く縮まる」要素でしかありません。なぜかというと、筋肉と筋膜はその組織の性質上、温めたり伸び縮みをさせていないと「硬く縮んだまま伸びなくなってしまう」からです。

これがヒドイ状態になるといわゆる「拘縮」と呼ばれるようなとても残念な事態になるのですが、拘縮までいかなくても、筋肉や筋膜は使わなかったり長時間冷やしているだけで、恐ろしいスピードで硬く縮んでいきます。

つまり何が言いたいのかというとですね、「冷え」「筋肉が硬くなる」≒「血行障害」だということなんです。

「冷え」からの血行障害までの流れは、決して一方通行の話ではありません。「冷え」と「硬い筋肉(筋膜)」と「血行障害」の関係はあくまでも「双方向性」であり、この3つのうちのどれか1つが起こってしまうと、それを放置していると連鎖的に残りの2つの要素も必ず引っ付いてきます。

なので東洋医学的な「冷え」の概念では、この筋肉を硬くするような要素はすべて「体を冷やす」という言い方でまとめて表現しているわけです。

結論
「冷え」は体を硬くする要素全般を
意味している

慣れるまでは違和感バリバリだと思いますが、「体を冷やす」ということは、自分が「寒い」と実感することだけではありません。

あなたが「寒い」と実感していなくても、あなたの体は日々の生活の中で部分的に冷えてしまっている可能性がとても高いです。

「冷える」ということは、その部分の組織が「硬くなる」ことを意味します。そして組織が硬くなるということは、その部分の「血液やリンパ液の流れが悪くなる」ということと同義です。

このお話にいまいち実感がわかない人は、試しに、輪ゴムか何かで手首のあたりをギュッときつく縛ってみるといいでしょう(推奨はしません)。しばらくすると、縛った部分から先が青紫色になってきて、感覚がおかしくなってきて、むくみでうまく手を握れなくなってくるはずです。

極端なお話ですが、これが組織の硬化による血液とリンパ液の流れが著しく阻害された結果です。

この極端な思考実験の状況よりはだいぶマシですが、ちょっとの血行障害でも、中期間から長期間にかけて放置していると、その健康被害は甚大なものになると思ったほうがいいでしょう。

ビジネスでも健康でも、問題解決の基本は「早期発見の早期解決」ですよね? 小さい問題を処理するのは比較的簡単ですが、長期間放置して複雑で根が深くこんがらがった大きな問題を解決するのは、並大抵の労力ではありません。

というか現実的な話、そのような複雑化した問題は、そもそも完全には解決できない可能性だっておおいにあります。

今回お話した東洋医学的な「冷え」の概念の本当の意味を理解していれば、少なくとも、あなたの体に今後起こるであろう「小さな健康問題」「解決不能になるまで長期間にわたり放置する」というような残念な事態になる確率は、有意に減らせるのではないかと思います。

もしよかったら、ぜひ健康管理や養生の参考にしていただきたいなと思います。

今回のお話のまとめ

それでは最後に、今回のお話のまとめをさせていただきます。

  • 「冷え」という概念は「寒い」ことだけを意味しているのではない。
  • 体を冷やすと、筋肉(筋膜)が硬くなり、血液とリンパ液の循環障害が起こる。
  • すべての病気は血液とリンパ液の循環障害から起こる(先天性疾患は例外)。
  • 冷えと筋肉の硬化と循環障害の関係は「一方向性」ではなく「双方向性」である。
  • 小さな問題も長期間放置すれば複雑化して完全には解決できなくなる。

以上です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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