整体やマッサージは
月に何回くらいの頻度で
利用するべきなのか?

最終更新日:2021/1/27

私は徒手療法の世界に身を置いてもう 15 年くらい経ちますが、患者さんからよく聞かれる質問のひとつに、「どのくらいの頻度で通えばいいですか?」というものがあります。

今回は、この「適切な徒手療法を受ける頻度」について、自分に分かる範囲で考えてみたいと思います。

ちなみにこのお話の結論は、「あなたが良いと思う頻度で利用すればいいんじゃないですかね?」という、身も蓋もないものになっておりますのでご注意ください。

大前提
そもそも絶対的な指標は存在しない

この問題については、どのような立場に立って何の要素を優先するのかによって、答えは大きく変わってきます。

例えば、オステオパシーの創始者である「アンドリュー・T・スティル先生」は、多いときには「毎日 2 回以上」は患者さんに施術を施すように指示をしていたという記録が残っています。

しかしスティル先生の別の著書では、「施術の間隔は 2 週間は空けるべきだ」というような内容の記述も残っています。つまり、あまり一貫していません。

この時点で、少なくともオステオパシーでは、施術を受ける間隔に絶対的な指標はないということが分かります(当院の施術はオステオパシーです)。

他にもこのような、「1日2回以上の施術を症状が良くなるまで週5日のペースで続けるべきである」というような頻回至上主義な主張をしている有名な徒手療法の先生を、私は何人か知っています。

ちなみに徒手療法を提供する側の理論としては、このような「とにかく多い頻度で施術を受けるべきですよ」とする意見が多数派なように思います。

ではまず、この「施術はとにかくたくさん受けるべきだ」という意見の根拠について見ていきましょう。

なぜ施術を短い間隔で
何回も受けるべきなのか?

施術者が患者さんに高頻度の施術回数をお勧めする理由は、ざっくり言って主に以下の2つです。

  • 何回も施術を受けてもらったほうが症状が改善しやすいから。
  • 何回も来てもらったほうがお店が儲かるから。

● 症状が改善しやすいから

当たり前の話ですが、徒手療法というものは、基本的には1回の施術で最終的な結果を出すための技術ではありません。

内服薬の効果といっしょで、ある程度の期間に何回か施術を受けてもらって、「そのトータルとしてどのくらいの効果があったのか?」という判断をしていくのが徒手療法の世界でも普通です。

「1回の施術で完全に治してやるぞ」とか、そういう理想論的なものを追い求めているベテランの施術者さんは、まず間違いなく存在しません。医療や徒手療法の現実を知るにつれて、このような青臭い思想はどんどん薄れていきます。

で、これが不思議というかおもしろい現象なのですが、例えば「5時間の施術を1回で提供した場合」と「1時間の施術を5回に分けて提供した場合」を比べると、まず間違いなく後者のほうが不快症状が大きく改善する可能性が高いです。

むしろ1回にそんな長時間の刺激を体に与えてしまうと、症状を悪化させてしまう可能性が高くなってしまうだけのような気もします。

● お店が儲かるから

これはまあ、あらためて説明するまでもないと思います(笑)。

2021 年現在、全国にある整体院やマッサージ店の総数は、コンビニの2倍以上という異常な数にまで膨らんでいます。数年前にブームのあったヨガ教室やフィットネスクラブなどの競合店も含めると、この業界のライバル店の数は本当にとんでもない数になります。

だから今の世の中、整体やマッサージなどの徒手療法のお店というのは、どこもお客さんの奪い合いです。オフラインでもオンラインでも、えげつない広告の集客合戦が繰り広げられています。

儲かっているお店は、たいていどこも集客に毎月すごい額のお金を使っています。なので、1人のお客さんからできるだけ多くの金額を搾り取ろうとするのは、ビジネスマンとしては当然の流れになってしまいます。

例えば、5千円を使って1人の新規のお客さんを獲得したとします。そして残念(?)なことに、そのお客さんは4千円の施術を1回しか利用してくれませんでした。

この場合、お店側は千円の赤字ですよね。もしこんなことがずっと続けば当然お店が潰れてしまうので、お店側としては、なんとかできるだけお客さんにたくさん施術を受けてもらおうとする傾向があります。

これも、施術者さんサイドがお客さんに施術の回数を多めに提案する傾向にある理由のひとつです。

そもそも、少ない頻度や回数で
改善は期待できるのか?

お店側でなくお客さんサイドとしては、逆に「できるだけ少ない頻度や回数でお願いしたい」という希望を持たれている人はとても多いと思います。

私としても、そのお気持ちはよく分かります。何回もお店に行くのは面倒くさいですし、よく分からないサービスにお金を使うよりも、そのお金でおいしい焼肉やイタリヤ料理を食べに行きたいという気持ちはよく分かります。

なのでお客さんとしては、施術を受ける頻度に関しては、「月に1回」「それ以下の頻度」にしたいと思われるのも無理はないでしょう。

では、徒手療法の専門家としてこの少ない頻度の施術で不快症状を大きく改善できるのかというと、答えは明確に「ノー」となります。

月に1回以下の頻度で
症状の改善は可能なのか?

残念ですが、「月に1回」や「それ以下」の頻度というのは、不快症状を改善するための頻度というよりは「不快症状のない健康な状態をキープする」ための頻度です。

何十年来の頑固な肩コリや慢性腰痛、急な寝違えやギックリ腰の激しい症状を月に1回以下の頻度の施術で大きく改善するなんて、そんなものははっきり言って人間業ではありません。

現実世界の医療ではまず無理です。ほぼほぼ不可能です。

改善したいのなら
最低でも月に2回以上は必要

なので、たとえば私の場合は、月に1回以下の頻度を希望されている患者さんの抱えている不快症状を大きく改善することは、最初からほとんど諦めています。だって、物理的に無理なものは無理なんですもん。

残念ですが、この点に関しては、気合や根性ではなんともなりません。もし私がお金にまったく困っていない大金持ちだったとしても、この考えは絶対に変わりません。

不快症状を大きく改善したいのならば、最低でも月に2回は施術を受けるべきでしょう。もしこの頻度が自分には無理だと思われるのでしたら、あなたの体の問題を解決する手段としては、整体やマッサージや鍼灸治療などは選択肢から外したほうがいいと思います。

中途半端にやっても、お金と時間を失うだけで、あなたが求めるような良い結果はまず手に入らない可能性が高いです。

最も重要なのは
自分が続けられる頻度を見つけること

ここまでいろいろと書きましたが、私が施術者の立場から患者さんにできる「施術を受ける頻度」に関しての最も有用なアドバイスは、「ご自身が納得して経済的にも精神的にも苦痛を感じずに続けられる頻度を見つけてください」というものです。

肉体の不快症状というのは、日々の日常生活の中に不可避の原因があるパターンがとても多いです。

例えば、経理の仕事をしている人がいるとします。この人は明細やパソコンと睨めっこをしながら、一日中イスに座って頭脳労働をしています。

これで首や肩が凝らないって、あり得ると思えますか?

人によっては「俺は肩コリなんかまったく知らないよ」という運のいい人も確かにいます。しかし物理的には、上記のようなライフスタイルの人の首、肩、背中、そして腰には、1日中おおきな負荷がかかり続けています。

このようなライフスタイルの人が肩コリや腰痛を改善しようとするのなら、ただ整体やマッサージを受けて「はい終わり」というわけにはいかないのは、なんとなくでも分かっていただけますよね?

このようなパターンの場合は、とにかく根気よく体のケアを続けていくしか有効な方法がありません。自分がこの商売で食っているからこういうことを言っているわけではなく、本当に他に有効な代替案がないのです。

ケアの種類が整体やマッサージや鍼灸ではなく「ヨガ」や「フィットネス」だった場合でも、この法則はまったく同じです。体のケアというものは、基本的には死ぬまでずっと続けていくものです。

なので、スタートダッシュをかけて最初だけガンガン頑張ったとしても、途中で疲れてやめてしまうようでは、体のケアというのは長期的にみて何の意味もありません。

体のケアに関しては、「短距離走」ではなく「長距離走的な視点」で苦痛を感じずに長くお付き合いできる頻度というものを、ぜひご自身で見つけていただければなと思います。

ちなみに、今回のお話の趣旨とはまったく関係ありませんが、フィットネスは体の「ケア」ではありませんのでご注意ください。

たしかに運動は健康を維持するうえでとても大事な要素なのですが、運動や筋トレは根本的に体の「ケア」とは逆の方向性の行為です。運動をしまくって逆に体を壊すケースはたくさんあります。運動や筋トレは別途で体のケアと併用されることをお勧めしておきます。

結論
ご自身の考えるお好きな頻度でどうぞ

今回のお話の結論です。

何十年来の頑固な慢性症状をおおきく改善したいとお考えならば、整体やマッサージを受ける頻度は、やはり「月に2回以上」は必須だと思います。

「月に1回以下」の頻度というのは、「治す」または「改善するため」というよりは、「今の状態をキープするためのもの」だという認識のほうがより正しいと思います。

ただ、体のケアというのは基本的には「死ぬまでずっと続けていくもの」なので、整体でも鍼灸でもヨガ教室でもフィットネスでも、「ご自身が精神的および経済的に苦痛を感じずに長期間続けられる頻度」でお付き合いしていっていただきたいなと思います。

途中で疲れてやめてしまっては、どんなに体にとってすばらしい習慣だったとしても、長期的な視点でみれば何の意味もないですからね。

ポイントは、多少サボりながらでも「とにかく長く続けること」です。この点に関してだけは、どんなに私と徒手療法に関する価値観が違う施術者さんでも、ほぼ完全に同意してくれるはずです。

今回のお話のまとめ

それでは最後に、今回のお話のまとめをさせていただきます。

  • 施術を受ける頻度には絶対的な基準などない。
  • 「効果」と「売上」の観点から、施術者側はお客さんに多い頻度を提案しがち。
  • 腕の良い悪いの問題ではなく、少ない頻度で大きな改善を期待するのはまず無理。
  • 自分にとって苦痛を感じずに長く続けられる頻度を見つけることが最も重要。
  • どんなに良い習慣も途中でやめてしまっては何の意味もない。

以上です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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