徒手療法の世界に
最新のオリジナルテクニックは
存在するのか?

最終更新日:2021/2/2

整体でもマッサージでも鍼灸でもなんでもいいのですが、インターネット上のブログ記事を見たり、本屋さんで専門書を立ち読みしていると、「最新のテクニック」とか「オリジナルの新技術」みたいな言葉をよく見かけるような気がします。

今回は、この件について同業者の立場から少しお話をしていきたいなと考えております。

最新のテクニックとは何か?

私は個人的に、専門家というものは、なによりも「言葉の定義」を大切にするべきであると考えています。

「最新のテクニック」という言葉は文字どおり「もっとも新しいテクニックだよ」という意味になると思うのですが、もしそうなのだとすると、「そもそもそんなテクニックが本当にあるのか?」という疑問を感じずにはいられません。

「千年前の人間」と「現代の人間」の
体の違いはなに?

だって人間の体って、根本的な部分では、1000 年以上前からほとんど変わってないんですよね。

頭はひとつ。目は2つ。腕と足が2本あって、心臓がひとつあって、口から飲食をして胃腸で消化吸収をして肛門からウンチを出す。このような人間の体の構造や機能は、根本的にはずっと昔からなにひとつ変わってないはずです。

診る対象の構造が変わってないのに見る技術だけが抜本的に変わるなんて、そんなことあるんでしょうかね? というよりも、そもそもそんなことをする必要があるんでしょうかね?

正直、最新やオリジナルのテクニックを追求することで得られる「患者さんサイドへのメリット」が何なのかがよく分かりません。

我々の祖先は
そこまで無能だったのか?

ちなみに徒手療法というのは、「もっとも原始的な医療」とも呼ばれています。

これはちょっと考えれば納得してもらえると思うのですが、ようは現代のような科学技術が発達していなかった時代は、医療というのはなんかよく分からない怪しい薬のようなものを飲むか、神様に祈るか、徒手療法的なものに頼るしか選択肢がありませんでした。

事実、世界中にはいろいろな名前の伝統医学が現在まで伝わっています。インドのアーユルヴェーダや中国の推拿なんかは、その代表格ですよね。

つまりなにが言いたいのかというと、人類が 1000 年以上かけて研究し尽くしてきた人体と徒手療法の分野において、今になって「まったく新しい完全オリジナルなテクニック」などというものが本当に創造できるものなのでしょうか?

もちろん、現代医学の外科手術における新しい術式や、電子顕微鏡でしか確認できない人体の生理学的な知識、そして、より大きな効果が期待できる新薬なんかは別の話ですよ。

それらは昔は確認のしようがなかった分野のお話ですから、科学の発展にともなって知識やテクニックが更新されるのは正しい工程だと思います。

しかし徒手療法に関しては話は別です。

徒手療法というのは、どこまでいっても「皮膚の上から手や指を使って人間の筋肉、筋膜、骨、関節を操作する」という技術体系です。

なので、どれだけ科学技術が発達したとしても、人間の体の構造が 1000 年以上前からほとんど変わってない以上、我々徒手療法家が患者さんに対しておこなう施術の内容も、抜本的には変わりようがないのです。

もし現代の徒手療法が 100 年前や 200 年前と比較して抜本的に変化しているとしたら、それはイコール、「代々医療の分野にたずさわってきた我々の先祖がいかに無能だったか」という証明にしかならないと思います。

我々の祖先って、そこまで無能だったんでしょうかね? ちなみに、今の私が使っている医療哲学や施術テクニックは、すべて 100 年以上前に確立されたものばかりです。

なので私個人としては、日々の臨床の中で、「我々の祖先はやっぱり偉大だったのだな」と、ちょくちょく痛感しております。

独自メソッドのアピールは
マーケティングの基本

はっきり言ってしまえば、ちまたに溢れている徒手療法の分野での「最新のテクニック」や「オリジナルの技術」って、だいたいは集客目的でやっている王道のマーケティングテクニックなんですよね。

自分がこの分野の権威であると位置づけるために既存の権威を否定するのは、古今東西あらゆる分野においてよくある話です。

実際、広告文に「100 年以上前からある古臭いテクニックを使っています」なんて書いても、消費者は見向きもしないのではないでしょうか。

でも、「今までにない画期的な新テクニックであなたの腰痛を治します」的なことを言えば、なんとなく広告を見た人のうち何人かは新規客として獲得できるような気がしませんか?

私は今までに 20 種類以上のバージョンのチラシを作って配布してきましたが、その経験から、この場合はたぶん後者のバージョンの広告文のほうがより引っかかる人が多いのではないかなと思います。

もちろん、「効果があるんだからこれは良い方法なんだ」みたいなことを言うつもりはまったくありません。ただ現実的には「こっちのやり方のほうがより集客できますよね」というお話を、あくまでも客観的にさせていただいただけです。

自己顕示欲を満たすため

ご存じの人はご存じだと思いますが、我々の業界は、わけもなく妙にプライドの高い人が多いです(笑)

自立していると言えば聞こえはいいですが、我々のような自営業者はようは「サラリーマンとしての適性がなかった人たち」なので、良い意味でも悪い意味でも自主自立志向の人が多いんですよね。

しかも我々は仕事の性質上、お客さんから「先生」と毎日のように呼ばれ、敬語を使われます。なので、勘違いしやすい人は「ああ、俺ってすげえ偉いんだ」って、けっこう簡単に勘違いできちゃうんですよね。

なのでそういう人たちは、昔からある王道なテクニックをほんの少しだけ自分にあつかいやすいようにアレンジを加えただけで、さも自分がイチから創造したかのように声高に「最新のオリジナルテクニックです」的なことをアピールしてしまうことがあります。

私はべつにそのような施術者さんたちを否定するようなつもりはありません。ただ個人的に、「自分はああいう思考には決してなるまいぞ」、と強く思っているだけです。

まあ、ようは価値観の違いですよね。良い悪いは横に置いておいて、「本当に世の中にはいろんな価値観を持った人たちがいるんだなあ」と、日々あらたに実感をしております。

ちなみにですが、ビジネスマンとしては私よりも彼らのほうが方法論として圧倒的に正しいです。あなたがもし整体院や鍼灸院を経営していて「増収増益」を目的にしているのであれば、私ではなく彼らの価値観や思考をマネることを強くお勧めします。

そのほうが確実に儲かると思いますよ。

結論
最新のオリジナルテクニックなど
存在しない

それでは、今回のお話の結論です。

人間の体は、1000 年以上前から根本的な変化は遂げていません。目は2つのままですし、手足も2本ずつのままです。

なので、もっとも原始的な医療である徒手療法の分野でも、数百年前と現在とでは、実際にやってることや使っているテクニックには根本的な変化はありません。

現在も使われているテクニックの大半は、昔かあるものをより洗練して使ったり、より理解しやすいように体系を整理して使っているだけで、根本的な原理原則は同じです。

なので個人的には、「最新のオリジナルテクニック」などというものは、徒手療法の世界においては存在しないと思います。

我々専門家が自称している最新のオリジナルテクニックは、集客目的であったり、自己顕示欲を満たすためであったりと、主に施術者側のメリットのために使われている言葉のような気がしてなりません。

もし本当に最新のオリジナルテクニックなるものがあったとすると、それはイコール「医療の道を歩いてきた我々の祖先がいかに無能であったか」の証明にもなってしまいます。

なので個人的には、やっぱり最新のオリジナルテクニックなどというものは、現実には存在しないように思います。

今回のお話のまとめ

それでは最後に、今回のお話のまとめをさせていただきます。

  • 人間の体は1000年以上前から根本的な変化は遂げていない。
  • 徒手療法は「もっとも原始的な医療」でありずっと昔から研究され続けている。
  • 徒手療法の原理原則は人体の構造が変化しない限り変わりようがない。
  • なので「最新のオリジナルテクニック」というものは本当の意味では存在しない。
  • お店の経営的には「最新のオリジナルメソッド」のアピールはとても効果的。

以上です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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